長崎県の五島列島福江島にある翁頭ため池円筒分水工に行ってきました。
溢流する水を分ける4枚の仕切りがくさび型に尖っているデザインがカッコいいです。
翁頭ため池円筒分水工は1948年(昭和23年)に取水元の翁頭池と共に建設され、下の大戸池、5km先の野々切地区など3方向に分水しています。今は受益地の農家50世帯が共同管理となっています。
現在水路が流れる一部の土地がキャンプ場建設予定地になってしまったので臨時の塩ビ管で流れを変えているとの事。
水は農家の命綱ですが公共性の高い水路などが通っている土地の売買問題は日本中で起きているのかもしれません。
今回の訪問ではありがたいことに管理している方にお話をお聞きし、現状を詳しく伺う事ができました。五島在住の写真家広瀬さんも同行して下さったことも大きかったです。地元の方同士の距離感や繋がりも感じられてとても有意義な時間でした。
水源は翁頭山(おうとうざん)のふもとの翁頭池の水を円筒分水に流して、その一部はその下の大戸池へ分水されます。
翁頭池
上の翁頭池から分水されている大戸池は江戸時代の中頃、高嶺十之進によって作られ地域を潤していました。翁頭池の方は昭和の初めに作られたそうです。
そして円筒分水は翁頭池の整備工事の際に1948年(昭和23年)に作られました。
翁頭池工事記念碑
用水は5㎞先の野々切地区まで達するとの事です。
現在水路が流れる一部の土地がキャンプ場建設予定地になってしまったので臨時の塩ビ管で流れを変えているとの事。
(翁頭池から円筒分水、大戸池を望む)
五島の農業を支えてきている溜池や円筒分水。島という条件の中での水の確保はとても大切だなと思いました。
五島のお米はのうちJAごとうが扱うものは五島産米プライベートブランド「島そだち」(コシヒカリ)、「うんまか米」(ヒノヒカリ)、「にこまる」、「なつほのか」を地元の直売所(産直市場「五島がうまい」)やJAコープで販売しています。
あと人気なのは「五島三菜」。ゆであげた新鮮な大根・人参を、12月~2月の強い季節風を利用し自然乾燥させ、ひじきを混ぜ合わせた五島に伝わる健康食品。
海の幸も豊富な五島の円筒分水を見に行き、色々な五島を楽しむことができました。再訪予定です。
データ
名称:翁頭ため池円筒分水工
住所:長崎県五島市高田町2382
方式:鉄筋コンクリート造、面積9.6㎡
水源:翁頭池(総貯水量143.7千m3)
用水:4分水。野々切地区など。一つは大戸池へ
竣工:1948年(昭和23年)
管理: 翁頭水利組合