円筒分水かわうそ探検隊

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大池円筒分水工(兵庫県加古川市)

大池円筒分水工デザインがかっこいい。東播ため池地域の円筒分水

兵庫県東播磨地域周辺(神戸の西部から明石、加古川高砂や姫路の方まで)は「ため池群と水路網」で有名な場所。文化庁の「文化的景観180カ所」や地球環境関西フォーラムの「関西の風景100選」、そしてこの地域の「いなみ野ため池群」は全国ため池100選にも選ばれています。

そんなため池の一つ原大池にある円筒分水工は特別な行事があり地域に大切にされている円筒分水。形がちょっとメカニカルでかっこいいです。

溢水した後、各方向に分配される仕切りがくさび型に尖っていたり、金属が使われていて硬質なイメージがかもしだされたり、ちょっと秘密基地や工場っぽかったり。

訪問した4月はまだ水が流れていませんでしたが、流水時には見えない内側の様子がわかって、このメカニカルな感じにやられました。一方、流水が始まると周囲の緑と合わさってきっとやわらかなイメージになるのだと思います。

梅雨入りとともに田植えシーズンを前に、原大池の農業用水を利用する5集落に分水する神事「樋抜きの儀」(ひぬきのぎ)が行われ水が流されます。

各集落の町内会や水利組合の代表者方々が見守る中、毎年志方八幡宮宮司祝詞を唱え一同で拝礼して、大池のバルブを開けるのだと。一度みてみたいです。

各地区の配水量や管理にかかる経費の負担は、昔ながらの「石高」で表した比率により、それぞれ定められるそうです。原大池が地域を潤して来た長い歴史を感じちょっと感動します。

原大池は安土桃山時代の文禄(ぶんろく)年間(1592-96年)に神吉久太夫が現在の高砂市の伊保周辺に水を引くために原の大池を築いたといわれています。 神吉久太夫は才知に富み、よく公益を図る人だったとの事。魚橋村西蓮寺の正門や生石神社の能舞台を建立したそうです。また米田村神爪村の東端にある生石神社の大鳥居には、延宝八庚申年孟春吉日(1680 年)神吉氏久太夫貞信謹立とあるそうです。

円筒分水からの用水で、志方町ではコシヒカリヒノヒカリなどが栽培されています。

特産品では「志方いちじく」が有名。

神戸市の六ヶ井堰、老ノ口、加西市の善防池、飯森野疎水、中野支線、加東市の稲尾などの円筒分水と同様、この地域のため池と用水の長い歴史を支える円筒分水。水が流れている時期に再訪したいです。

そうそう、このいなみ野ではこのため池にちなんだ「ため池カレー」のフェアーを行っています。ダムカレーだけでな水関係のカレーがあるとは知りませんでした!

兵庫県 ため池 カレーフェア | ひょうごため池保全県民運動

歴史

原大池は上述の通り安土桃山時代に神吉久太夫が築いたといわれています。この原大池から加古川市志方西地区の5集落(横大路、原、成井、永室、西牧)へ水が供給されていましたが昭和20年代の堤防の大改修時にこの円筒分水が設置されたとの事。

データ

名称:大池円形分水工
住所:兵庫県加古川市志方町原
方式:全周溢流式 直径約4m
水源:原の大池
用水:志方町西部の5集落(横大路、原、成井、永室、西牧)
水田など約110ヘクタールを潤す。
竣工:昭和20年代の堤防の大改修時
管理:大池五ヶ村ため池協議会

リンク:

原大池『樋抜きの儀』|いなみ野ため池ミュージアム

大池『樋抜きの儀』|いなみ野ため池ミュージアム

www.inamino-tameike-museum.com

JA兵庫南 eふぁ~みん

志方東営農組合[公式サイト]

水土里ネット東播用水 -東播用水土地改良区-

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