円筒分水かわうそ探検隊

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宝地(ほうぢ)池の円形分水工(愛知県豊川市)

宝地池のアースダムと共にある円筒分水

ちょっと遺跡っぽいですが、バリバリ現役です!

東三河の代表的河川の豊川から名前が付いた豊川市。その豊川市宝地(ほうぢ)池に円筒分水があります。宝地池は1897年(明治30年)に地元豊川の上長山の小林文吉が苦労の末作ったため池。そして後に本宮山(789m)を源流とする宝川から水を引いたとの事です。

池は1955年(昭和30年)にほぼ現在のアースダムの形に改修され、円筒分水はその時に作られたのではと思われます(文献等は未確認)。宝地池と一心同体ですね。なお池は2017年(平成29年)に大規模改修工事が行われています。

円筒分水は堰の天端(てんば:ダム堤体の一番上部)から下に向け法面(のりめん:傾斜面)に設置された階段を降りたところにありました。

宝地池から底樋を経由して取水された水はサイフォンで円筒分水に入り分水されます。

(左)写真奥の堰の底樋からの水の一部を取水し手前のサイフォン穴に落とし込む

(右)写真手前のサイフォン穴に落ちた水は奥の円筒分水に吹き上がる

 

見学した時は通水を止める時期でしたが、すぐ下流の農地向けと宝地池からの吐水流に合流してより遠くの農地へ向けた2分水のように見えました。

(左)吐水流と合流するための分水口 (右)すぐ下の農地へ向かう分水口

またサイフォンで円の真ん中に吹きあがりますが、水の出口は真下からではなく中心の横から出す形。それを波消しで抑え、丸く溢流させる形になっています。

用水の流域は、豊川用水の西部幹線水路や近隣のため池がカバーしない宝川の右岸地域かと思われます。

豊川市の農業は、豊川用水の通水後大きく発展。現在では愛知県下4位の農産物生産額です。東三河には農産物生産額全国1位の田原市があり、県下2位の豊橋市とともに全国トップクラスの農業生産地なんだそうです。

豊川は名産の大葉、スプレーマム(菊)やバラ、トマト、イチゴなどを主体とする施設園芸が強く、稲作、露地野菜、畜産など色々な形の農業がバランスよく発展しているとのこと。

 

一心同体のアースダムも見て見ると、小ぶりで地味ですが大規模改修工事(2017年)が近年あった為、きれいです。洪水吐は自由横越流式。

その導流路もかっこいい。直島の地底美術館か李禹煥美術館の一部のような。

 

天端から眺めると豊川・豊橋と湖西・浜松の間の湖西連峰(弓張山地)の東山(200m)、神石山(324m)、座談山、石巻山(358m)、富士見岩などと思われる山並みがきれいでした。全く訪れる人もなく静けさが心地よいところでした。

 

データ
名称:宝地(ほうぢ)池の円形分水工
住所:愛知県豊川市上長山町北宝地60−1
方式:全周溢流式
水源:豊川水系宝川~宝地池
用水:2分水?
竣工:1955年(昭和30年)
管理:愛知県、孫宝排水土地改良区、ダムは豊川市所有、水利組合管理 
登録:

ダムデータ
名称:宝地(ほうぢ)池
住所:愛知県豊川市上長山町北宝地60−1
目的/形式:灌漑(近年は消防ヘリコプター用水としても)/ アースフィルダム
総貯水量:29万m3
堤高/堤頂長/堤体積:23.5m/198.9m/81千m3
放流設備:自由越流式洪水吐
水源:豊川水系宝川
用水:円筒分水経由農業用
流域面積:1.1km2/4ha
ダム事業者:愛知県
竣工:1955年(昭和30年)、2017年(平成29年)に大規模改修工事
管理:ダムは豊川市所有、宝地溜池組合管理 

豊川用水ホームページ

damnet.or.jp

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