円筒分水かわうそ探検隊

円筒分水を訪問している記録です。ツイッターやインスタの Kawausobunsuiをフォロー頂くとアップデート時にご案内が流れます!

別所ダム円形分水槽(長崎県雲仙)

ダム下で案内板もなく寡黙に働く円筒分水

雲仙を訪れ、別所ダム(鴛鴦(おしどり)の池)を見て、ダム建設の時発見されたという大黒天磨崖仏を見て歩いていると何か水音がするのに気づきました。ダムの放水口でもあるのか?と下流側に回り込んでこれを発見しました。説明板や案内もありません。何だこれは?

建築土木系の友人に聞いたり、ネットで調べたりして円筒分水というものだと知りました。偶然の出会いでした。

坂がカーブしている地点で道路より1m以上低い位置にある為、車で通過すると気付きにくい場所。グーグルマップで確認すると、やはりかなり急なつづら折り/ヘアピンカーブの曲がりにあるのでドライバーの人にはそれどころじゃなく、まったく意識されない場所です。大きなものなに注目は浴びていない感じ。でもとても立派!

水は2方向へ流れているようでした。別所ダムの水は灌漑用水に年間最大330万m3、上水道に110万m3まで使える事になっているので、75%が農業用使われている事になります。灌漑用の取水は毎年4/1から10/31までです。

別所ダムは後述の歴史情報の通り、戦後雲仙が国際観光地として発展する過程で水利用が増え、下流の千々石(ちぢわ)地区の農業地区と加持川~千々石川の水の水争いとなった事を解決するため作られたとの事。

今は十分な水が千々石川を通じて千々石町、小浜(おばま)町の農地に供給されています。両町は米、馬鈴薯、いちごなどの特産品が有名!

雲仙からの水は水質がきれいでミネラルが豊富。おいしい米づくりに向いています。妙見岳など雲仙の山並みからの水で農家の方々が作るその土地に合った作物は素晴らしいですね。そして円筒分水は一役買っています。

千々石のお米、と言えば、日本棚田100選に選ばれた清水棚田(岳清水棚田。清水川水源の上岳地区)や千々石川と清水川の合流部より下の下岳地区の岳棚田の「棚田米」が有名ですね。円筒分水訪問の際の楽しみにぜひ。

また長崎県は北海道に次ぐ馬鈴薯(じゃがいも)の産地で特にJA島原雲仙のエリアは長崎県の8割近くのシェアの馬鈴薯を産します。千々石、小浜、愛野など温暖な気候と雲仙の標高差を生かして1年中新じゃがを出荷しているとの事。そして雲仙のいちご「恋みのり」「ゆめのか」「さちのか」も有名。近隣の道の駅や特産品販売所での買い物楽しみの一つです。

www.pref.nagasaki.jp

雲仙の棚田米や馬鈴薯、イチゴを見かけたらこの円筒分水を思い出して買ってみようと思います。

 

歴史

別所ダムの歴史は、昭和20年代半ば過ぎに国際観光地として発展してきた雲仙の旅館、ホテルが加持川水源から水を引き始め下流千々石町との係争となった事に端を発します。そのため加持川をせき止めた別所ダム構想が持ち上がり1953年(昭和28年)頃から検討開始、1961年(昭和36年)に工事開始1969年(昭和44年)3月に竣工となりました。円筒分水はその時に作られたと思われます。(別所ダム管理規定の記載から類推)

自然

[1] 鳥別所ダムでは冬にはカモたち(オシドリカルガモヒドリガモコガモホシハジロキンクロハジロなど)が渡って来るそうです。そして周辺の山林ではウグイス、ホオジロジョウビタキハクセキレイルリビタキなども見られるとの事。

雲仙で見られる野鳥リスト

[2]植物:春のミヤマキリシマ、ヤマザクラ、初夏のヤマボウシ、秋の紅葉と様々。

雲仙花見ごろ情報

リンク:

ようこそ 雲仙公園へ | 雲仙お山の情報館(国立公園雲仙の自然情報)

データ

住所:長崎県雲仙市小浜町雲仙
方式:溢流式
竣工:(多分ダムと同じ)1969年(昭和44年)
管理:(多分ダムと同じ)長崎県
水源:千々石川水系加持川・別所ダム(灌漑・上水道用水用)
用水・分配:(多分ダムと同じ)小浜町・千々石町の農業用水と雲仙の上水道
設計:(多分ダムと同じ)長崎県農林部耕地課、施工:熊谷組

その他:「円形分水槽」の名称は「別所ダム管理規定」での表記による。

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