円筒分水かわうそ探検隊

円筒分水を訪問している記録です。ツイッターやインスタの Kawausobunsuiをフォロー頂くとアップデート時にご案内が流れます!

内ヶ磯(うちがそ)ダム(福智山池)の円筒分水(福岡県直方市)

登山人気の福智山が源流の円筒分水。

年間20万人が登る九州屈指の人気の山、福智山 (900.8m)からの水が分けられているのがこの内ヶ磯(うちがそ)ダム円筒分水。



大きな「福智山ダム」の下の「福智山池」内ヶ磯ダム直下にある円筒分水、ダムからの水は福地川として彦山川にそそぐ、というなんだかややこしいです。

以前は自由に近くまで行けたのですが、親水公園の整備の一環でしょうか、今は金網フェンスに囲まれて近寄れず金網越しの観察です。

訪問時はまだ田植え前で水量は少なかったですが、シーズンにはオリフィス式の孔から水がたっぷり出ているのだと思います。ここもよく見ると弁城ダムの円筒分水同様、しじみ貝が生息している模様。

小さく地味ですが、木陰にあり脇にチゴザサのようなちょっと良い感じの植生も生えていて小さな庭の手水鉢のような風流な感じが。鹿威しでも置きたいような。

水源の内ヶ磯ダムは小ぶりですが穏やかできれい。池の奥の先には福智山ダムも望めます

 

この水源の斜樋から水を取り2本底樋管を経由して堰堤下に出し、

そこから垂直に地中を落としサイフォンで円筒分水に溢れ指せる仕組みです。

(上左)垂直に落としてサイフォン     (上右)円筒分水から下流

 

ダムの洪水吐と底樋口からの水の一部は合流し福地川として下流に流れます、

 

ダムの堰堤の天端に登って下流方向をみると右手の丘の等高線に沿った水路と左手の棚田を下がっていく水路の方向が分かります。


ダムの堰堤の天端に登って上流方向をみると堂々とした大型の重力式コンクリートダム福智山ダムも望めます。

福智山ダムの底には「高取焼 内ヶ磯窯」の遺跡が眠っています。

九州は大陸・朝鮮半島から最先端の作陶の技術が入って来た場所なので有田、伊万里など多くの窯がありますが、高取焼の歴史に大切な内ヶ磯窯があったのはここなのです。

直方市で生まれた高取焼:高取焼の歴史

 

円筒分水で分水された用水は上頓野方面や福地川右岸の農地を潤して行きます。

直方では水稲栽培が盛んです。

直方市総農地面積の約3分の2で「夢つくし」「元気つくし」ヒノヒカリなどの品種が作られています。また、地域ごとにこだわりのお米が生産されています。

 

福智山麓名水米
福智山山系の水は「水源の森百選」(林野庁)にも選ばれ、農業用水としても使われています。福地山麓の自然豊かな水で育まれたお米です。

 

円筒分水を堪能したらお腹がすいたのですぐ横のお店で手打蕎麦食べました。

美味しかったです。(写真は明太子蕎麦)

 

データ

名称:内ヶ磯ダム(福智山池)の円筒分水
住所:福岡県直方市
方式:オリフィス式
水源:福智山ダム~内ヶ磯(うちがそ)ダム(遠賀川水系福地川
用水:福地川右岸、神頓野
竣工:1953年(昭和28年)
管理:直方市産業建設部

 

ダムデータ1
名称:内ヶ磯ダム(福智山池)
住所:福岡県直方市大字頓野
方式:アースフィルダム
水源: 遠賀川水系福地川

堤高/堤頂長/堤体積 :22m/112.6m/108千m3
流域面積/湛水面積 : 5.9km2 ( 全て直接流域 ) /6ha
総貯水容量/有効貯水容量 : 416千m3/374千m3
用水:福地川流域
竣工:1953年(昭和28年)
本体施工者    大成建設
ダム事業者   福岡県

管理:直方市産業建設部

 

ダムデータ2
名称:福智山ダム
住所:福岡県直方市大字頓野字二ノ瀬
方式:FNW/重力式コンクリート
水源: 遠賀川水系福地川
堤高/堤頂長/堤体積 :64.5m/255m/202千m3
流域面積/湛水面積 : 4.7km2 ( 全て直接流域 ) /13ha
総貯水容量/有効貯水容量 : 2710千m3/2560千m3
用水:福地川流域
竣工:2003年(平成年)(着手:1975年)
本体施工者    大成建設前田建設工業・為広建設
ダム事業者    福岡県< 管理:福智町農政課

洪水調節(昭和28年西日本水害後の抜本的な治水対策)・不特定利水(河川機能を維持し渇水時においても既存用水の水量を確保)・上水道(宅地開発の進展に伴う上水道用水確保)を目的とする、福岡県営の多目的ダムである。
 
福智山ダムの建設

ダムの必要性については、昭和28年6月の大水害、昭和34年における大渇水、それに近年都市化による水需要へ対応するも。昭和43年~49年にかけて予備調査が行われ、54年に事業が採択された。その後59年8月補償基準の妥結、平成7年10月一般補償完了、10年10月ダム本体工事着手、12年3月ダムコンクリート打設開始、13年12月ダムコンクリート打設完了、16年3月竣工した。本体打設工法は、福岡県内で初の合理化施工であるRCD工法が採用された。

洪水吐きとして、常用洪水吐き型式自然調節方式、非常用洪水吐き型式正面自由越流方式となっており、最大放流量は23m3/sである。事業費217億円を要した。

主なる補償は、土地取得面積21.4ha、水没家屋2戸、鉱業権補償
福智山ダムの目的

① 洪水調節
 ダム地点の計画高水流量100m3/sのうち、88m3/sの洪水調節を行い、福地川沿川の水害を防除する。

② 流水の正常な機能の維持
 ダム地点下流の福地川沿川の既得用水の補給を行う等、流水の正常な機能の維持と増進を図るため、維持流量として0.035m3/sを確保する。

③ 水道用水
 ダム地点下流直方市に対し、ダム地点において水道用水として、新たに2,500m3/日(0.029m3/s)の取水を可能ならしめる。


 直方市の水道の変遷を辿ると、明治時代までは井戸水であったが、昭和7年人口27,000人となり、遠賀川の伏流水でもって水道を開始した。そのころは一人1日100lの使用量である。その後人口の増加と炭鉱の開発によって遠賀川が汚染され、水源を表流水に変更を余儀なくされた。さらに昭和40年八木山川の力丸ダムに水源を求め、12,000m3/日が供給されている。現在(平成23年)人口58,800人に対する水道は、遠賀川の表流水と、力丸ダム、福智山ダム、地下水を水源としている。現在の一人1日水使用量はほぼ300l

 

福智山水源林
福地川源流部、雲取山・福智山・鷹取山・内ヶ磯ダム(福智山池)で囲まれた区域。面積436ヘクタール、標高200ないし900メートルで、水源の森百選・北九州国定公園・水源かん養保安林・保健保安林の指定を受けている。樹種はスギやヒノキ・カシ・シイ・タブノキを主体とし、針葉樹・広葉樹の比率は58対42。林齢は37ないし151年以上である。当地は福智山への登山口であり、毎年15万人が訪れる。渓谷には大塔(おおとう、だいとう)の滝といった名所があり、福智山ダム周辺の公園・キャンプ場開発も進んでいる。

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