円筒分水かわうそ探検隊

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羽北1号甲(変形扇型)(長野県上伊那郡 西天竜幹線水路円筒分水工群)

西天竜幹線水路円筒分水工群を少しずつ記事にしてみます。

 

まず西天竜一貫水路!1922年(大正11年)から1928年(昭和3年)に整備され、完成にあわせ開田工事が始まり1935年(昭和10年)までに1,000haもの耕地が一挙に増えたそうです。その中で水争いを解決するため第三代の天竜耕地整理組合長の穂坂申彦が円筒分水工を採用して解決を図ったとの事です。当時「穂坂式分水槽」と呼ばれていたそうです。1940年ごろまでに57基設置されたそうですが、現在は35基が稼働中と。

 

一つめは「羽北1号甲」

西天竜頭首工で取水された西天竜一貫水路の水は表に出たり山のトンネルを通ったりしながら伊那谷が大きく広がる羽場の標高750mくらいのところで水路として姿を現します。表に出てすぐのところで取水されすぐの所で分水しているのが羽北1号甲です。

形が舟みたいでかっこいい。

 

オリフィスで二方向に分水しています。

 

「羽北」は羽場の北だからでしょうか、それとも羽場と北大出の間だから?

 

西天竜一貫水路は伊那谷が大きく広がる羽場で表に顔を出します。

そこの取水口からは東に暗渠で道路に沿って地下を通りこの分水工の西端で姿を現し分水工にそそぎます。水は方形の部分で水流の勢いを調整後半円形の部分に入り2方向に分水されます。サイフォン式の注水ではないです。

 

youtu.be

いずれにしても標高745m東の羽場地区をざぶざぶと潤しています。この地区は北大出からの用水やもう少し北の北の沢川からの用水も使われており、のんびり水路を追っかけるのもいいかも。



むくげがきれいに咲く農家のお宅の庭の一角に、庭の風景の一つのようにとけ込んで設置されています。そっと見せて頂きました。


データ
名称:西天竜用水路 羽北1号甲
住所:長野県上伊那郡辰野町伊那富
方式:オリフィス式、変形扇型
水源:西天竜用水路
用水:2方向分水。北大出、羽場地区
竣工:1935年(昭和10年)~1940年(昭和15年)?
管理: 上伊那郡西天竜土地改良区

登録:西天竜幹線水路円筒分水工群全体で土木学会推奨土木遺産(2006年/平成18年度)