那須疏水の歴史の中に残る円筒分水

日本三大疏水(あと2つは福島の安積疏水、京都の琵琶湖疏水)の一つで、近代土木遺産として、旧取水施設などが国の重要文化財に指定されている那須疏水。1885(明治18)年にわずか5ヶ月という驚異的な工期で完工しました。

那珂川上流の西岩崎で取水し、幹線・分水路合わせて総延長330km以上、約4,300haの土地を潤しています。荒地だった那須野が原を明治の貴族や富豪、今でいう起業家が描いた未来を形にし大きな耕作地としたというのが面白いです。

那珂川からは4つの分水工で那須野が原に取水。太夫塚の円筒分水には、第三分水工から伸びる用水の内、太夫塚堀の水が使われていると思われます。



昔は耕地が広がっていたこの西那須野が原も、宅地や商業施設となり、太夫塚咽頭分水の東側もスーパー、ヨークベニマルの建物と駐車場となっています。(円筒分水を車で身に行くには駐車場の心配がなくて便利)
国土地理院の昔の航空写真であたりを比べて見ました。

現在太夫塚円筒分水の取水は暗渠化された太夫塚堀なのか、それとも伏水流を揚水機で上げているのか不明ですが、3方向に分水された水は旧太夫堀を通り、太夫塚6丁目から、5丁目、3丁目、4丁目へと流れているようです。
現在ヨークベニマルの駐車場の横に流れる水路には、かつてそこから田んぼへと分水した小さな分水工の跡があったりで、ちょっと泣けました。

水源の那珂川に関しても、昭和期には国営事業により大規模な改修が行われ、深山ダ
ムなどが整備され、より安定した水源が確保されています。色々時代により状況は変わりますが、水資源を大切・公平に使ってきた痕跡の円筒分水や水路、堰や分水工などはぜひしっかりと残っていくよう祈るばかりです。
データ
名称:太夫堀円筒分水工
住所:栃木県那須塩原市太夫塚
方式:全周溢流式
水源:那須疏水第三分水
用水:3分水
竣工:?
管理:那須野ヶ原土地改良区連合